私たちが家庭で使ったあとの汚れた水(汚水)や雨水は、どのようにしてきれいな水となって、川や海に戻されていくのでしょうか。
 汚水や雨水は下水と呼ばれています。
 下水は下水管によって集められ、下水処理場できれいにされます。
■下水管(汚水管・雨水管)
 汚水や雨水は、下水管に流れ込みます。下水管は道路の下などに埋められていて、下水を下水処理場まで運ぶ役目をしています。下水管には掃除や検査、修理をするためのマンホールがところどころに付けられています。
 下水を運ぶ方式には、合流式と分流式の二つがあり、合流式は汚水と雨水を同じ管で運びます。分流式は汚水と雨水を別の管で運ぶもので、汚水は下水処理場に運ばれてきれいな水に処理されますが、雨水は川や海に直接放流されるしくみになっています。
■ポンプ場
 下水管はこう配をつけて埋められており、下水が自然に流れるしくみになっていますが、下水管を埋める場所が地面より深くなりすぎると、下水管を埋める費用が高くなるばかりでなく、掃除や修理がやりにくくなります。そこで、ところどころにポンプ場を設けて、下水を浅いところにくみ上げ、ふたたび高いところからこう配によって流すしくみになっています。また、ポンプの力を利用して、低いところから高いところへ下水を送ることもあります。このように、ポンプ場を設けることによって、どのような地形でも下水が速やかに流れるように下水管を埋めることができます。
 さらに、雨水を対象とするポンプ場は、台風や大雨の時に大量の水をくみ上げて速やかに川や海に流し、道路や建物が水につかるのを防ぐ役割ももっています。
■下水処理場
 下水管やポンプ場を通って下水処理場に運び込まれた下水は、次のようないくつもの施設を通りぬける間に、次第にきれいな水に生まれ変わってゆきます。
沈砂池
処理場に運ばれた下水は、まず、沈砂池と呼ばれる池に入ります。下水の中に含まれている大きなゴミや砂はここで取り除かれます。
最初沈殿池
沈砂池で処理された下水は、最初沈殿池に入ります。この池をゆっくり流れていく間に、沈砂池で沈まなかった小さなゴミや砂は底に沈んでゆきます。
エアレーションタンク
沈砂池、最初沈殿池を通った下水はエアレーションタンクに入ります。バクテリアや原生動物のような微生物の集まりを活性汚泥といいますが、エアレーションタンクの中で下水に活性汚泥を混ぜて、空気を吹き込みます。すると、活性汚泥と下水はよく混じり合い、活性汚泥は吹き込まれた空気中の酸素の助けを借りて、どんどん汚れを食べてゆき、時間が経つに従って、しだいに大きな固まりとなります。
最終沈殿池
エアレーションタンクで、大きな固まりとなった活性汚泥は、この池で沈められます。ここまでを二次処理といい、汚れの約90%以上は取り除かれ、下水はきれいになります。
消毒施設
最終沈殿池の上ずみ水を消毒してから川や海に放流します。消毒には、プールなどでも使われている塩素が使われています。
高度処理
次のような場合には、さらにきれいにするための高度処理を行うことがあります。

  • 放流する川にサケやアユなど、清流を好む魚がすんでいる場合には、魚たちがいつまでも住める川にしておくため、処理水の汚れを更に取り除く必要があります。
  • リンや窒素が増えてくると、湖のように水の流れが少ないところではプランクトンが多く発生し、魚たちに悪い影響を与えたり、飲み水が臭くなるため、放流前にリンや窒素を取り除く必要があります。
  • 処理水を工業用水や生活用水、農業用水などに再利用する場合には、利用目的に適した水にする必要があります。

 高度処理では、二次処理の終わった処理水に、薬品を加えたり、ろ過したりして、目に見えない汚れや水に溶けている成分を取り除きます。
■汚泥処理
 最初沈殿池や最終沈殿池で沈められた汚れや微生物の固まりを汚泥といいます。この汚泥はかき集められた後、水分を減らして(濃縮)発酵させ、それ以上腐らないようにして(消化)水をしぼり取ります(脱水)。水をしぼり取られた汚泥は脱水汚泥と呼ばれ、中には燃やされて(焼却)灰になるものもあります。脱水汚泥や灰は埋め立て処分されたり、肥料や土じょう改良材として、農地などに利用されたり、レンガやタイルの材料として用いられたりします。
■標準活性汚泥法
 エアレーションタンク内で下水と活性汚泥をエアレーションによって混合後、最終沈殿池で、活性汚泥を沈殿分離し、上澄液を処理水として流出させる方法である。分離された活性汚泥の一部は再びエアレーションタンクに送られる。本法では主として有機物が除去される。
■嫌気―無酸素―好気法
 本法では嫌気―好気活性汚泥法による生物学的リン除去を行うと同時に窒素の処理効率を高めるため、嫌気部分と好気部の間に無酸素部分が設けられている。好気部分に達した下水の一部は無酸素部分に循環し、ここで硝酸性及び亜硝酸性の窒素成分が窒素ガスに変えられ大気中に放出されることにより窒素の除去が行われる。
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